平成21年度 まちむら実践キャンパス生レポート
レポート:人吉球磨版子ども農山漁村交流プロジェクト
日時:平成21年9月26日~27日
場所:錦町、あさぎり町、多良木町、人吉市
プロジェクトについて
9月26-27日の日程で「人吉球磨版子ども農山漁村交流プロジェクト」が実施されました。私は、そこにインターン生として参加させていただきました。簡単に内容を記しますと、26日は、ポッポー館(あさぎり町)にて開校式、その後、百太郎溝(多良木町)を見学し、農業体験をしました。27日は、(子どもたちは)歴史衣装を試着し、青井阿蘇神社の見学をしました。
開校式
**9月26日(1日目)**
熊本市内と人吉市・球磨郡内の小学生が参加。開校式では、緊張した様子の子どもたちでしたが、自己紹介をし、昼食を共に食べると、もうすっかり友達になっていました。
百太郎溝見学
多良木町に移動し、強い日差しの中で、百太郎溝を見学。百太郎旧樋門を目の前に、説明を聞きました。「なぜこのような大仕事をなすことができたのであろうか?」と、当時の人々の思いと苦労を想像しました。「特別な指導者もなく、子どもからお年寄りまでの、人々の手彫りで造ったんだよ」というお話しが大変印象的でした。水を引く大変さを改めて考える良い機会となりました。
百太郎溝見学の後、それぞれのグループに分かれ、多良木町・あさぎり町・錦町に向かいました。百太郎溝大堰のおかげで、多良木町・あさぎり町・錦町にて稲作ができるということを百太郎溝の話を聞いて、黄金の稲穂を見て、そして農業を体験して、実感しました。
民泊先
私は子どもたちと、多良木町の「球磨川遊農の舘」深水さん宅にて、稲刈り、野菜の収穫を体験させていただきました。「最近、農業の会社を立ち上げました」とお話されるご夫妻からは、優しい穏やかな笑顔の奥にパワフルさを感じさせられました。20種類以上の穀物、野菜を作っていらっしゃるとのこと。たとえば、お米といっても、普通のお米、赤米、黒米、緑米などの種類をはじめ、雑穀といわれる稗、粟、麦などもあり、野菜は里芋、トマト、落花生など、控えめにお話をなさっていましたが、とにかく、多種多様の農作物がこちらで大切に育てられていることを知りました。
農業体験
目にするお米や野菜の中には、名称と商品は一致するのですが、その生育過程は私たちにとって未知のものも多く、子どもたちと私は興味津々で、ご夫妻を質問攻めしました。けれども、さすが農業のスペシャリスト、どんな質問にも的確な答えが返ってきました。(写真は、黒ゴマです)
手刈りで稲刈りを体験。草を刈る鎌と稲刈りの鎌が違うということを知りました。稲刈りの鍬は鋸のような刃になっていて、刃が柄についている角度も異なっていました。子どもたちと楽しみながら、稲刈りをさせていただいきましたが、私たちは「畑一面を手刈りしてみたい!」とは言いませんでした。昔の人の苦労は並大抵のものではなかったことでしょうね。
野菜の収穫も体験しました。里芋を掘り、ミニトマトを収穫しました。スーパーの商品棚に並んでいる野菜は、形が揃って、(照明の効果で)キラキラしていますが、収穫体験でとった野菜は、泥んこで、さまざまな形をしていました。しかし、掘りたて、採りたてであるため新鮮で、その違った形こそが愛らしく感じられました。「○○みたい」「かわいい~」「食べてみてもいい?」という子どもたちの言葉からも、新鮮な野菜の収穫を楽しんでいる様子が伺えました。
農作業体験の後、「多良木町 えびす温泉センター」に行きました。入口のえびす様が福をもたらしてくれるようであり、また、温泉に入ってさっぱりしました。
球磨川遊農の館
民泊先の「球磨川遊農の舘」では、子どもたちは夕食作りを体験しました。子どもたちが作ったのは、豆腐のハンバーグとじゃがバター。民泊先の方々のご指導のもと、豆腐ハンバーグに入れる玉ねぎのみじん切りに悪戦苦闘しながらも、最後まで頑張りました。「目が痛い」「(お肉が、)あっ、冷たい」などとつぶやきながら、一つひとつを協力して、積極的に取り組みました。
じゃがバター作りでは、上手に同じ大きさに形成することができました。子どもたちの作った料理は、見た目だけでなく、味も最高においしく仕上がっていました。
その他にも、今年の収穫した新米のご飯、子どもたちが収穫した里芋、おからのサラダ、茶碗蒸し、栗の渋皮煮などを用意していただき、みんなでおなかいっぱい食べました。子どもたちは、「おいしい!」と言いながら、次々に自分の皿へと食事を盛っていました。特に、自分たちで作った豆腐のハンバーグとじゃがバターに、箸が進んでいました。
夜は、民泊先の方々としばしのおしゃべりと、バイオリンの生演奏、素敵な歌のミニコンサートを楽しみました。
リクエストを中心に演奏をしていただいたので、一緒に楽しむことができました。
バイオリンの音色は、穏やかで、心地よい空間を作り出してくれました。
朝食
**9月27日(2日目)**
どこからともなくにわとりの鳴き声が聞こえ、自然に目が覚めました。身支度を整え、キッチンへ向かうと、おいしそうな朝食のかおりがしていました。少しだけお手伝いをし、朝食をいただいきました。自家製の雑穀入りのごはんは、プチプチしていてとてもおいしかったです。「おかわり、してもいいですか?」と子どもたちから積極的な言葉が出るほど、手作りのパンプキンスープも好評でした。
移動中、子どもたちはそれぞれに、昨日の農作業体験や民泊先の話を楽しそうに話していました。朝食後、身支度を整えると、「球磨川遊農の舘」のみなさんに見送られ、あさぎり駅へ移動しました。あさぎり駅では、あさぎり町に民泊した子どもたちと合流し、くま川鉄道に乗りました。途中、錦町に民泊した子どもたちも乗って来て、人吉駅にて下車しました。
青井阿蘇神社歴史衣装体験
青井阿蘇神社へ移動し、子どもたちは歴史衣装をまといました。二人一組になって、着付けをし、洋服とは違う着心地を味わいました。記念に、青井阿蘇神社の楼門にて写真撮影。歴史衣装姿の子どもたちは観光客の人々の注目を浴びていました。
青井阿蘇神社見学・閉校式
歴史衣装を脱ぎ、青井阿蘇神社についてのお話を伺いました。子どもたちには少し難しい話ではありましたが、青井阿蘇神社をさらに魅力あるものとさせてくれました。たとえば、二十四孝物語の彫刻など。解説がなければ、そこへ注視することもなく、見過ごしていたことでしょう。お話を聞き、国宝青井阿蘇神社についてもっと知りたいと思いました。
見学を終え、みんなで昼食をいただきました。その後、子どもたちは2日間の体験の感想まとめ、発表をしました。人前に立つことが恥ずかしいという様子を見せる子どももいましたが、農業体験、歴史衣装体験、民泊体験について、それぞれの言葉で感想を述べました。子どもたちからは、「また参加したい!」という言葉が多く聞かれました。その様子を、人吉青年会議所の方々、熊本県立大学の学生、まちむら実践キャンパスのインターン生が温かい眼差しで見守りました。
人吉駅
人吉駅にて、人吉市・球磨郡内の子どもたちは、熊本市内の子どもたちを見送りました。「SL人吉」に乗って帰る友達を見送る子どもたちは、一緒に乗って行きたそうな顔で見送っていました。
子どもたちは、2日間と短い期間でしたが、人吉・球磨にて、貴重な体験をすることができたのではないかと思います。私は、この「人吉球磨版子ども農山漁村交流プロジェクト」に参加をさせていただき、人吉・球磨地域の魅力と同時に、この地域に住む方々の魅力を強く感じました。ガイドブックを頼りに観光地を訪れる旅とは違う、心和む時間を過ごすことができました。
※まちむら実践キャンパス:火の国未来づくりネットワークが、熊本県内の若者を地域づくり団体に派遣する事業です。